「出産してしばらく経つのに、体型がなかなか戻らない…」
そんなふうに感じていませんか?
妊娠・出産という大きなライフイベントをへた身体は、想像以上に変化しています。頑張っているのに戻らない体型に、不安や焦りを感じるママも多いことでしょう。でもそれは、あなたが怠けているわけでも、何かを間違えているわけでもありません。
このコラムでは、助産師の視点から「産後に体型が戻りにくい本当の理由」と「今日から少しずつ始められる体型リセットの方法」について、4回にわたり丁寧にお伝えします。
無理せず確実に、“わたしらしい身体”を取り戻すためのヒントを見つけていきましょう。
第1回 産後の体型が戻らないのはなぜ?その仕組みと背景を知ろう
産後体型が戻らないのは“あなたのせい”じゃない
「体型が戻らないのは私の努力が足りないから…」と自分を責める必要はありません。
妊娠・出産によって身体は想像以上に大きな変化を経験します。ホルモンの働きや骨格の変化、筋肉の使い方が変わる中で、すぐに元に戻るというほうが不自然なのです。
産後の体型変化は、“回復の途中”です。まずは「産後の体型変化は普通のこと 」と受け入れることが、体型リセットの第一歩につながります。
ホルモン・骨盤・筋肉の変化
「出産で骨盤が開くって聞いたけど、それって本当に戻るの?」という声をよくいただきます。実際、産後の身体の構造は変化しており、元に戻るには時間がかかります。
妊娠中、リラキシンというホルモンが分泌されることで、骨盤や関節、靭帯がゆるみ、赤ちゃんが産道を通りやすくなります。この状態は産後もしばらく続くため、骨盤が開いたり、歪んだと感じるのです 。
さらに、妊娠中から産後にかけて運動量が減ることで筋肉量も落ちてしまいます。特に体幹や骨盤まわりの筋肉が弱くなると、姿勢が崩れやすくなり、脂肪がつきやすい身体になるでしょう。これらの要因が、見た目や身体のシルエットに大きく影響します。
つまり、まずは「今の身体の状態は、自然なプロセスの途中なんだ」と理解することが、心にも身体にもやさしいスタートになるのです。
授乳・抱っこ・寝不足などのストレス
「夜中の授乳が続いて寝不足。なんとなく常に体が重い気がする…」実はこのような生活の不調も、体型の戻りにくさに大きく関係しています。
産後は赤ちゃん中心の生活に切り替わることで、自分のことは後回しになりがち。授乳や抱っこが増えることで、猫背になったり 骨盤が後傾しやすくなります。こうした姿勢のクセは、ぽっこりお腹やお尻の広がりにつながりやすいのです。
また、慢性的な寝不足や育児によるストレスは、体の回復力を低下させ、ホルモンバランスの乱れを招きます。その結果、代謝が落ち体重が戻りにくくなります。
育児という大きな変化の中で、身体 に無理がかかっているのは当然のことです。だからこそ、まずはその負担に気づき、できるところから整える意識が大切です。
年齢や体質の影響(個人差による要因)
「若い頃は少し運動すれば戻ったのに…」「年齢のせい?」と感じている方も多いかもしれません。確かに、年齢による代謝の低下、体質的な影響も、体型の戻りやすさに関係する要因の一つです。
30代後半以降は、基礎代謝が徐々に落ちていく傾向があり、脂肪が燃焼しにくく、筋肉がつきにくいです。また、もともとの体質によって、骨盤が開きやすい、むくみやすいといった傾向も見られるでしょう 。
ですが、これは“年齢が高いから戻らない”ということではありません。身体 の変化を正しく理解して、今の自分に合ったリセット方法 を行えば、年齢に関係なく整っていく力は十分にあります 。
年齢や体質による差はあるけれど、それはあくまで“個性のひとつ”です。焦らず、自分のペースで取り組むことが、結果的に近道になるでしょう。
まとめ:戻らないのではなく、“回復の途中”です
出産後の体型変化はごく自然なプロセスです。ホルモンや骨盤、筋肉、生活習慣の変化など、さまざまな要因が重なっているため、すぐに元通りになるわけではありません。
「戻らない」と焦るのではなく、「整っていく途中」と捉えることが、心にも体にもやさしい第一歩です。無理なく、自分のペースで整えていきましょう。
第2回では「ママたちの“あるある”。体型の悩みを整理する」というテーマでお伝えします。